腕振りについて①

走る際に、腕を振らずに走る人はほとんどいないと思います。腕を振ることは、速く走るために必要不可欠な要素の一つです。

腕を振らずに走ってみると、上半身が捻れてしまったり、ストライドが狭くなったりといったことが発生します。

今回は、腕を振る理由について、複数回に分けて書いていきます。

腕を振る理由①:体のバランスをとるため

腕を振らずに走ると、上半身が捻れるように動きます。走る際には体に捻れが生じるため、腕を振ってバランスをとる必要があります。例えば、足を上げたときには、股関節が内側に回旋しています(内旋)し、足を後ろにキックしたときには、股関節が外側に回旋しています(外旋)。

腕を振る理由②:地面に力を伝えるため(地面反力を強める)

よく聞く指導方法として、「肘を90度に曲げて、前後に大きく振りましょう。」というものがあります。これは完全に誤った指導ではありませんが、このような腕の振り方では、ストライドが狭くなり、ピッチが優位な走りになってしまいます。つまり、ストライドとピッチのバランスが悪くなってしまうのです。

私が考える適切な腕振りの方法は、「前に振るときは肘を45度以上曲げ、後方に振るときは肘を伸ばし、最終的には90度近くまで肘が曲がる」というものです。最後に肘を曲げるところについては、意識する必要はありません。「肘の曲げ伸ばし」がしっかりできていれば、腕を振ることで地面に力が伝わり、自然に肘が曲がっていきます。

腕の振り方や振り幅、歩幅などによってストライドやピッチが変化するため、正しい腕の振り方を身につけることが大切です。

「肘を伸ばしても良いの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。次回は、肘を伸ばす理由を書いていきます。