小学生陸上について

「マルチスポーツ」というのを日本陸連も大切に感じているようで、2019年から小学生の陸上競技の種目変更が行われました。

これまで単独種目となっていたハードル・走り高跳び・走り幅跳び・ジャベリックボール投げが混成競技となりました。

コンバインドA→ハードル、走り高跳び
コンバインドB→走り幅跳び、ジャベリックボール投げ

混成競技になったことは、マルチスポーツを推奨する我々からすると大変良い取り組みだなと感じています。

ただし、こうなったことで新たな問題も浮上しています。

単純に、全国大会進出者の枠が減少したうえに、2種目の練習をやらないといけなくなったため、勝利至上主義的な動きがより高まってしまいました。また、練習量を増やさなければならない点も気を付けないといけません。

ただ、ある程度の結果は出さないと、入会が増えないので、チームの運営が苦しくなります。

陸上の練習ばかりせず、身体の使い方を学ばせるトレーニングをおおくしながら、かつ結果も出せる状況を模索している段階ですが、一昨年はコンバインドAで全国大会準優勝したり、3年連続で神奈川県のコンバインドA男女アベック優勝をしています。

この子たちが、今後も伸び悩まずに成長し続けてくれれば、身体の使い方の指導がうまくいったことになりますし、伸び悩めばやり方が悪かったことになります。

早熟を防ぐというのは難しいところではありますが、小学生で全国優勝を成し遂げ、大人になって日本代表まで登り詰めた人もいるので、そこを目指していけたらなと思っています。

色んな年齢の選手が一緒に練習をする

皆さん、ご指導されるとき、または指導されているチームでは、年齢別、世代別に分けて練習していますか?

年齢によって、指導する内容や声のかけ方、体力差などの理由によって、世代別のクラスを作って指導されているところが多いのかなと思います。

私が指導しているHappinessACでは、全部の世代を一緒に練習させています。

もちろん全てということではなく、共通しているメニューと別々に取り組むメニューとあります。

一部を除き、小学校低学年から大学生まで同じ時間に、一緒に練習させています。意外とこういうチームって少ないです。

色んな年代が混じって練習したら効率が悪いのかといえば、そうでもありません。デメリットよりも、メリットの方が多いと感じているため、実際にやっています。

一番のメリットは、憧れの先輩をみつけやすく、目標を作りやすいところです。以前、小学生対象の地域情報紙の取材を受けたとき、取材してくれた方から小学生にこんな質問がありました。

「憧れている選手はいますか?」

多くの子は、有名選手の名前を挙げるのかなと思います。陸上競技でいえば、桐生選手やサニーブラウン選手、海外勢のウサイン・ボルト選手やガトリン選手など。

うちの子の回答はこうでした。

「未夢ちゃん!」

HappinessACコーチの濟藤未夢の名前を挙げたのです。

世界や日本を代表する選手に憧れを持つことって当たり前だと思いますし、素敵なことだと思います。しかし、すぐ目の前にいる先輩を目標とすることで、より目標を身近に感じられるというか。目指すべき選手像、人間性がわかっている人を目指すってのも、素敵なことだなと感じてます。

小中学生たちが、全国あちこちの試合に出ている未夢コーチに憧れて、陸上競技を取り組んでいる。その、憧れの先輩と一緒に走ることができるし、何よりも生で動く教材に触れることができるというのは、なかなかない環境ではないかと思っています。

そして、その小中学生が大きくなったとき、さらに下の世代から憧れられる存在になってくれると、チームの循環としては最高だなと感じています。

上の子はコーチの役割をすることで、自分の競技に生かせる発見や気づきが増える。
下の子は、憧れの速い先輩からアドバイスをもらえる。一緒に練習できる。

こういう環境を作りたかったですし、発展途上ではありますが、実際に作ることもできました。

教員の働き方改革で、地域のスポーツチームの需要が増えてくるはずです。うちは、いつでもどの世代でも受け入れる準備ができています。

これぞ、一貫指導というモデルを作れたらと考えています。

Track Triadというブログ名の由来

HappinessACでは、短距離走、ハードル、やり投げの3種目にフォーカスしています。

これらの種目は、スピード、力、技術のトライアングルを形成しており、他の競技にも通じる要素が多く含まれています。

ハードルは、走幅跳や走高跳と通ずるものがあります。踏み切って跳ぶ、という部分が共通しているのがこの種目。スピードが足りないと、ハードルも上手く跳ぶことが出来ません。また、陸上競技場で練習をする上で、準備がしやすいのがハードルでもあります。

やり投げには、投げる能力だけでなく、助走に必要なスピードを高める必要があり、高めたスピードを投げる能力にも結びつけられます。小学生から体験出来るのが、やり投げの小学生バージョンであるジャベリックボールスローです。中学ではジャベリックスローがあります。

短距離走、ハードル、ジャベリックボールスローをはじめ、幅跳びや高跳びに移っていくというのが当クラブの取り組みです。

このブログでは、私たちが短距離走、ハードル、やり投げで得た知識や技術を他の競技にも応用する方法を紹介していきます。